GDP:#2 コンピュータ化システムに対する要件①


こんにちは、パースペクティブの田中です。 


前回の記事ではGDPガイドラインでどのようなことが求められているのかをざっくりとですが確認できたかなと思います。そこで今回からは数回に分けて、コンピュータ化システムに対する要件を厚生労働省のGDPガイドラインにそって見ていってみたいと思います。 


ではさっそく本題となりますが、GDPガイドラインではコンピュータ化システムについて、以下のように述べられています。


第3章 施設及び機器 
3.5 コンピュータ化システム 
3.5.1 コンピュータ化システムの使用を開始する前に、適切なバリデーション又はベリフィケーションにより、当該システムによって正確に、一貫性及び再現性をもって、求められる結果が得られることを示すこと。

 

ここでは、GDPにおいてもGMP(Good Manufacturing Practice)やGCP(Good Clinical Practice)と同じように、CSV(コンピュータ化システムバリデーション)またはベリフィケーションが必要だということが明確に示されています。バリデーションとベリフィケーションについては、いろいろなところでいろいろな説明がされているのですが、GAMP(*1)ではそれぞれ以下のように定義されています。


バリデーションとは、

特定のプロセスが、事前に定められた仕様および品質特性に適合する製品を、恒常的に製造することを高度に保証する根拠を示す文書を作成すること  


ベリフィケーションとは、

特定の要件が満たされていることの客観的証拠の提供による確認


また、「一貫性」と「再現性」は、CSVにおいて押さえておくべき重要なポイントとなりまので、簡単に解説してみます。


一貫性とは、

システムによって得られたデータに矛盾や不整合がない状態のことを表しています。こちらのDI(データインテグリティ)の記事でも出てきている言葉ですね。


再現性とは、

何度やっても同じ結果が得られる状態のことを表しています。前述のバリデーションの定義にある「恒常的に製造する」ことが「再現性がある」状態にあたり、「再現性がある」ことを証明するために「高度に保証する根拠を示す文書を作成する」こととなります。 CSVでは文書作成が大変だいうイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、しっかりとシステムの仕様を文書化し、計画書に従って検証を行うことにより再現性を確保することができるようになります。このような観点からも文書作成の重要性をご理解いただけると良いなと思います。


次回の「GDPシリーズ」に続く… 


*1  GAMP:ISPE(国際製薬技術協会)から発行されているCSVのガイド。現時点(2020年11月)での最新版は2008年に発行された「コンピュータ化システムのGxP適合へのリスクベースアプローチ(GAMP5)


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2コメント

  • 1000 / 1000

  • tanaka

    2020.12.02 03:22

    @akihiro hamamotoコメントありがとうございます!実際に業務に携わられている方からの生の声、とても参考になります。GDPは製薬会社以外の医薬品流通に関わる業者さんにも適用されるということと、流通経路上で一貫して品質を確保することが必要であることから、関係会社とのバランスも考慮しながら、リスクマネジメントも取り入れて中長期的に計画を立てて体制を整備していくのが現実的ではないかなと思っています。始まったばかりの本ブログですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
  • akihiro hamamoto

    2020.12.01 22:42

    本ブログでGxPやCSV関連を勉強させていただいております. 貴重な情報,ありがとうございます. GDP,正直言ってまだまだ製薬会社での取り組みには格差があります. 限られたコストとマンパワーでどこまで対応していくか,勉強させていただきます.