CSV:#6 CSV活動で作る文書② FS
こんにちは、木村です。
前回からCSV活動で作る文書シリーズを始めました。第1回は要求仕様書(URS)の要点や作成時のポイントを説明しました。実際に作る時にお役に立てば幸いです。
さて、今回は機能仕様書(FS; Functional Specification)です。
いつ作るのか?
機能仕様書(FS)は、コンピュータ化システムのライフサイクルの開発段階で作成します。要求仕様書(URS)を作成した後に作ります。
誰が作るのか?
機能仕様書は供給者(製薬会社のIT部門やベンダー等)が作成し、規制対象組織(製薬会社のビジネス部門等)が承認します。
どのような目的で作るのか?
この文書は要求仕様書(URS)に記載した要件を実現するコンピュータ化システムの具体的な機能や性能を定義するために作成します。
どのような事を記載するのか?
厚生労働省の適正管理ガイドラインには以下のように記されていて、具体的な記載事項の例示はありません。
開発責任者は、供給者に要求仕様書に記載された要件に対応した具体的なコンピュータ化システムの機能と性能を記載した機能仕様に関する文書(以下「機能仕様書」という。)を作成させ、承認するものとする。
GAMP5に示された項目を参考にすると、以下のような内容を盛り込むのが一般的です。
- システム概要
- 機能
- システムが処理するデータ
- インターフェース(ユーザインターフェース、機器・装置とのインターフェース、外部システムインターフェース)
- 機能外の要件(性能等の非機能要件)の実現方法
- 環境
どのように作るのか?
機能仕様書(FS)は規制上、カテゴリ分類4および5のソフトウェアで作成します。カテゴリ分類4はシステムアセスメント(*1)の結果によっては作成しないこともあります。
- 機能仕様書(FS)は要求仕様書(URS)と整合するように記載します。
- 機能は分類毎にまとめて記載し、各機能に対してIDを振ります。
- ユーザ(製薬会社等)と供給者(ベンダー等)の双方が理解できる表現で記載します。
- 据付時適格性評価(IQ)の検証対象となるハードウェア/ソフトウェア構成を明記します。
- 各機能が標準機能、構成設定機能、カスタマイズ機能のいずれに当たるかを明記します。
機能仕様書(FS)は要求仕様書(URS)の記載の下に、ハードウェアやソフトウェアの構成・機能やデータ等の要求をどのように実現できるかを記す文書です。作成担当や記載事項から想像できるかと思いますが、システム寄りのやや細かな内容も載ります。要求を実現するための機能や制限を全て書き出すことは大変ですが、ここに抜け漏れがあると設計仕様書(DS)に影響しますので頑張って洗い出しましょう。
次回は設計仕様書(DS)について説明する予定です。
*1 システムアセスメント:CSV活動の1つ。システム構築方法や製品に由来するリスク、供給者に依存するリスクなどを評価し、後続活動の作成文書や検証内容を決める。適正管理ガイドラインでは実施する事項として「ソフトウェアカテゴリ分類」「製品品質に対するリスクアセスメント」「供給者アセスメント」が挙げられている。
0コメント