GDP:#1 GDPの概要


はじめまして、パースペクティブの田中です。

突然ですが皆さま、GDPをご存知でしょうか。このページをご覧になられている方の中には、まさにGDP対応に困っていて本ブログにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれませんね。初めて耳にする方のために簡単にご説明すると、GDPとは、「Good Distribution Practice」の略で、医薬品を適正に流通させるための基準です。日本では、GMP(Good Manufacturing Practice)やGCP(Good Clinical Practice)などと違い省令にはなっていませんが、厚生労働省からの事務連絡として2018年12月に「GDPガイドライン」が発出されています。

本ブログでは「GDP×CSV」をテーマに、数回にわたって連載していく予定です。完結する頃には、GDP業務でコンピュータ化システムを使うには、どのようなことに注意して、どのような対応が必要なのかがクリアになっていると良いなと思っています。


1.はじめに

現在、GDPガイドラインの発出から2年半以上が経過していることもあり、製薬会社をはじめ、医薬品卸、物流業者(3PL;third-party logistics)など医薬品流通に関わる会社は、GDP対応の真っ最中ではないかなと思います。GDPに関するセミナーも増えてきて、私も何度か参加させてもらっているのですが、やはり、医薬品の保管や輸送中の環境、特に温度逸脱を最小限に抑えるための施策がいろいろと紹介されている印象です。

一方で、コンピュータ化システムへの対応は、セミナーで取り上げられることがほとんどないため、何からどう着手すればよいのかわからず、後手に回っている会社も多いのではないでしょうか。そこで今回は、そろそろCSV対応に着手し始めなければと危機感をお持ちの多くの皆様に読んでもらい、参考にしてもらえるように、頑張ってまとめていこうと思います。


2.GDPガイドラインが伝えていること

第1回である今回は、CSVに踏み込んでいく前に、まずはGDPガイドラインの全体像を目次順に振り返ってみようと思います。


◎緒言、目的、適用範囲

ガイドライン作成の背景や目的が説明されています。流通経路における医薬品の完全性を保持し、偽造医薬品の正規流通経路への流入を防止するための参考となる手法として、ガイドラインが作成されています。

また、ガイドラインの適用範囲は、医薬品の市場出荷後から医療機関、薬局に届くまでとされています。


◎第1章 品質マネジメント

品質リスクマネジメントの原則を取り入れ、品質に関わるすべての業務を文書化し、履行されることを確実に保証することが要件として求められています。


◎第2章 職員

職員に対して個々の責任を明確にし、必要な教育訓練を受けさせることなどが要件として求められています。


◎第3章 施設及び機器

医薬品保管のための施設とその環境管理に関する要件が述べられています。さらに、医薬品の保管や流通に影響を及ぼす機器およびコンピュータ化システムに対する要件が述べられており、その中の一つとして、適格性評価及びバリデーションが求められています。


◎第4章 文書化

文書(手順書、指図書、契約書、記録およびデータ)は紙または電子媒体の形態にて文書化し、定められた期間保管することが要件として求められています。


◎第5章 業務の実施

業務において、医薬品の品質を保証し、医薬品の仕入、保管及び供給業務が確実に実施され、偽造医薬品が正規流通経路に混入する危険性を排除するための要件が述べられています。


◎第6章 苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品及び回収

苦情、返品、偽造が疑われる医薬品の取り扱い等に関する要件、および医薬品回収時の対応要件が述べられています。


◎第7章 外部委託業者

委託業務の内容について明確に定めた契約を委託先と締結することが求められています。また、契約委託者および契約受託者の責任が述べられています。


◎第8章 自己点検

ガイドラインの遵守と適切な是正措置を実現するため実施する自己点検の要件が述べられています。


◎第9章 輸送

医薬品の輸送中の品質確保、盗難防止に関する要件が述べられています。


3.おわりに

GDPガイドラインの概要のご説明は以上です。次回からは得意なCSVに踏み込んでいきたいと思いますので、楽しみにお待ちください。


「GDP: #2 」へ続く...



困ったときはパースペクティブにお任せ!


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