医療機器ソフトウェア:#2 JIS T 2304(IEC 62304)に適合すべき法的根拠
こんにちは、西です。
前回の記事で「JIS T 2304(IEC 62304)は、医療機器ソフトウェアの開発・保守における安全性確保のために適合が求められる規格として知られています」と書きました。
今回はその法的根拠について触れようと思います。
JIS T 2304(IEC 62304)に適合すべき法的根拠
薬機法に以下の記載があります。
<薬機法第四十一条第3項>
厚生労働大臣は、医療機器、再生医療等製品又は体外診断用医薬品の性状、品質及び性能の適性を図るため、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができる。
この「厚生労働大臣が定める医療機器の基準」は医療機器の「基本要件基準」と呼ばれています。
基本要件基準は平成17年3月29日付で告示されましたが、平成26年11月5日付の告示で以下の記載が追加されました。
(基本要件基準:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81aa6953&dataType=0&pageNo=1)
プログラムを用いた医療機器については、最新の技術に基づく開発のライフサイクル、リスクマネジメント並びに当該医療機器を適切に動作させるための確認及び検証の方法を考慮し、その品質及び性能についての検証が実施されていなければならない。
この時点では、具体的にどのような方法を採れば上記の基準に適合したことになるかについては明示されませんでした。
その後、平成29年5月17日付で以下の通知が発出されました。
(医療機器の基本要件基準第12条第2項の適用について:https://www.std.pmda.go.jp/stdDB/Data/RefStd/Std_etc/H290517_0517-01_01.pdf)
その中に、以下の記載があります。
<1.基本要件基準第 12 条第2項の規定の適用について>
(1) 平成 29 年 11 月 24 日(以下「経過措置期間終了日」という。)の翌日以降に製造販売されるプログラムを用いた医療機器(プログラム又はこれを記録した記録媒体を含む。以下同じ。)は、JIS T 2304 (医療機器ソフトウェア ― ソフトウェアライフサイクルプロセス)への適合をもって基本要件基準第 12 条第2項への適合を確認したものとすること。
(2) JIS T 2304 の他、プログラムを用いた医療機器のライフサイクルプロセスについて、国際的に用いられている適切な規格等がある場合については、それらの規格等への適合性を確認することをもって基本要件基準第 12 条第3項への適合を確認したものとして差し支えないこと。承認申請(承認事項一部変更承認申請を含む。以下同じ。)又は認証申請に際しては、それらの規格等を用いることの妥当性を説明すること。
(3) 製造販売業者、外国製造医療機器等特例承認取得者又は外国指定高度管理医療機器製造等事業者(以下「製造販売業者等」という。)は、プログラムを用いた医療機器のライフサイクル、リスクマネジメント並びに当該医療機器を適切に動作させるための確認及び検証を適切に考慮及び実施する体制を整備し、その適合に関する確認等を適切に記録し保管すること。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 23 条の2の5第6項又は第 23 条の2の 23 第3項の規定による調査の調査権者の求めなどに応じて資料を提示し、適切な説明を行わなければならないこと。
上記の(1)が根拠となり、現在では医療機器ソフトウェアの製造販売においてJIS T 2304(IEC 62304)への適合が必要になっています。
なお(2)の通り、他に適切な国際規格があればそれへ適合するのでも構わないようです。
因みに、JIS T 2304とIEC 62304の関係についてはJIS T 2304の中に記載があります。
JIS T 2304とIEC 62304の関係は「IDT」(=一致している)と書かれています。
<JIS T 2304 1.2 適用範囲>
注記 4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を示す記号を,次に示す。IEC 62304:2006,Medical device software-Software life cycle processes 及び Amendment 1:2015(IDT)なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,“一致している”ことを示す。
この「IDT」の意味については、以下のJISCの資料で説明されています。
(JISC資料:https://www.jisc.go.jp/jis-act/pdf/jis-seigouka.pdf)
次の場合、国家規格は国際規格と一致する。
a) 国家規格が、技術的内容、構成及び文言に関して一致している、又は
b) 国家規格が、技術的内容及び構成に関して一致しているが、最小限の編集上の変更(※)を含む。
つまり、一部に違いはあるものの、基本的には国際規格であるIEC 62304をそのままJIS規格化したものがJIS T 2304であるという理解で良いかと思います。
前述の通り日本で適合が求められているのはJIS T 2304ですが、実務上はIEC 62304と呼ばれることが多いため今後も両者を併記してJIS T 2304(IEC 62304)と記載するようにします。
今回は以上です。
- 医療機器ソフトウェア開発・保守においてJIS T 2304(IEC 62304)へ適合すべき法的根拠がある
- 医療機器の基本要件基準と呼ばれているものがある
- JIS T 2304は国際規格IEC 62304のJIS規格版であり、両者の内容は基本的に同一
という点について理解してもらえば良いかと思います。
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