時事ニュース:#1 水虫薬の睡眠導入剤混入事案について



こんにちは、パースペクティブの田中です。 

今回はGDPの記事を一回お休みして、最近気になっている業界ニュースを個人的な所感を交えて取り上げてみたいと思います。  


皆様もテレビやインターネット、SNSなどでご存じかとは思いますが、国内で製造された経口抗真菌剤(水虫薬)に睡眠導入剤が混入し、服用された患者さん100名以上が健康被害を訴え、2020/12/17時点で一名の方がお亡くなりになられました(LINK)。ここでは本事案を踏まえて、厚生労働省が日本製薬団体連合会(以下、日薬連)の会長宛てに発出した通知を、抜粋してご紹介してみたいと思います。 


厚生労働省は本通知にて製造業者及び製造販売業者に対して、下記のとおり周知徹底を求めています。

1 製造業者においては、製造管理に関する定期的な自己点検、職員に対する教育訓練の実施など、適切な製造管理体制を確保するための取組を実施すること。 
2 製造販売業者においては、製造業者に対する管理監督を徹底し、製造業者との緊密な連携を図ること。 
3 製造販売業者及び製造業者においては、医薬品に関する適正な情報提供体制の確保や、有事の際のリスクマネジメント体制を確認すること。 
4 製造販売業者及び製造業者においては、1から3の取組を含め、実施する業務が薬事に関する法令に適合することが確保される体制を整備すること。

出典元:厚生労働省課長通知「医薬品の適切な製造管理等の徹底について」(薬生監麻発1211第1号 令和2年12月11日)(LINK


今回の事案は「製造業者における基本的な製造管理のミスやチェック体制の不備から生じたもの」とあるため、製造過程における作業ミスが発端になっていると推測できます。一方で、上記のとおり本通知では特定の作業に対する注意を促しているわけではないことから、厚生労働省は関わる組織の体制が不適切であったことが被害拡大の根本的な原因であるととらえていることが推察されます。  


医薬品の信頼を大きく揺るがす今回の事案については、日薬連や日本ジェネリック製薬協会からも謝罪やコメントが出されており、業界全体において重大な問題であると認識されていることがわかります。今後は国民からの信頼を回復していくために、製薬業界全体において適正な製造管理や品質管理、そしてコンプライアンスの徹底が強く求められていくであろうと思われます。

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