DI:#7 データライフサイクル

こんにちは。パースペクティブの德原です。
前回
は、データインテグリティの原則であるALCOA+について解説しました。
今回は、データインテグリティを考える上でも大切なデータライフサイクルについてISPE(International Society for Pharmaceutical Engineering, Inc.:国際製薬技術協会)が発行している「記録とデータのインテグリティガイド(GAMP RDI)」の内容を参考にしながらご紹介します。


データライフサイクルとは、下記のような、データの流れのことを言います。 

  データの生成

⇒ データの処理

⇒ データのレビュー、報告と使用

⇒ データの保存

⇒ データの破棄

上記のデータライフサイクル全体を通じて、データインテグリティの原則であるALCOA+が遵守されなければいけません。それぞれのフェーズでデータインテグリティを確保するために行うべきことについて紹介します。


◆データの生成

初期段階のデータが生成される又は観察された結果を記録するフェーズ

最初に取得されたデータが生データになります。

生データが意図せず削除されたり、許可されていない変更が行われないよう、保護する必要があります。


データの処理

取得したデータの解析、変換や移行を行うフェーズ

取得したデータの解析、変換、移行は定められた手順や方法に従って行う必要があります。また通常行うことはなくても、データを再処理(再解析)する場合の手順に関しても予め定めておく必要があります。

例えば規格試験において、いつもと異なる結果が出た場合にその結果を安易に不採用にして、再解析や再測定を行っていつもと同じ結果になったとします。その場合、初回の試験操作で間違いがあったのか、サンプル自体に異常があったのかわかりません。場合によっては不都合なデータだから不採用にしていると第三者的には見えてしまいます。そのため、初回の試験に関する調査を行い、明らかな手順間違いなど正当な理由がある場合に、データの再処理(再解析)や、初回の試験を不成立として再測定できるように、適切な手続きや手順を定めておくことが重要です。


データのレビュー、報告と使用

情報に基づいた意思決定のためにデータを用いるフェーズ

このフェーズではデータのレビューや報告、使用が行われ、これらは定められた手順に従う必要があります。

このフェーズまでのデータに関して矛盾していないことをレビューし、結果及び判定、結論については文書化して残さなければいけません。


データの保存

データを安全に保存するフェーズ

記録をファイリングするなど、保存期間中に無許可の変更や損失が起きないように保護された安全な場所にデータを保存します。

万が一データを損失した場合にも復旧できるように、保存データのバックアップを行います。

また必要に応じてデータをアーカイブ(退避)させることがあります。

さらに保存中において、必要な時にデータや記録を取り出せるようにしておく必要があります。

記録によっては保存期間が規制によって定められているので注意が必要です。


データの破棄

保存期間を過ぎたデータを破棄するフェーズ

必要な保存期間を過ぎたデータや記録は破棄します。

確実に破棄するために、あるいは必要なデータを誤って破棄しないために、書類やデータの種類ごとの保管期間、破棄方法や手順をあらかじめ定めておく必要があります。


以上、データライフサイクルについて紹介しました。ALCOA+を遵守していくことはどのフェーズでも変わりませんが、フェーズによって異なるコントロールが必要になります。次回は紙の記録にフォーカスしたALCOA+についてご紹介する予定です。







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