GDP:#7 GDP領域のCSV対象システム②
こんにちは、田中です。
前回は厚生労働省「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」(以下、GDPガイドライン)で直接言及されているCSV対象となり得るシステム等を挙げてみました。このようなシステム等については、CSVの対象として考慮すべきであることが容易に想像がつくだろうと思います。
一方、今回はGDPガイドラインの要件を満たすために活用されるであろうITシステムをご紹介していきたいと思います。 GDPガイドライン上では直接言及されていませんが、だからといってCSVの対象外となるわけではありません。GDP業務において患者の安全や製品の品質を確保する上で影響を及ぼす可能性があるため、前回ご紹介したシステム等とともにCSVの対象として考慮すべき必要があります。
◎在庫管理システム
GDPガイドラインでは、医薬品を適切に保管するための要件として下記の事項が挙げられています。在庫管理システムのようなITシステムを活用することにより、これらの要件を効率的かつ確実に実現することができるようになります。
- 在庫の出庫順管理(たとえば、使用期限順で先出し、または先入れ先出し)
- 在庫の取違い防止(たとえば、同一棚での混載制限)
- 販売可能在庫の判別(たとえば、使用期限管理)
- 定期的な棚卸の実施
- 適切なピッキングの実施
◎トラック&トレースシステム
GDPガイドラインでは、製品の回収を迅速に行うためにトレーサビリティを確保することが求められています。また、偽造医薬品が発見された場合には、流通経路を明確にし、混入ルートを特定することが求められています。RFID(Radio Frequency IDentification)、GPSおよびクラウド環境等の技術を組み込んだトラック&トレースシステムを活用することによって、製品のシリアル化、所在把握および流通経路の記録等を可能とし、GDPの要件を効率的かつ確実に遵守することができるようになります。
GDP領域では複数の事業者が医薬品の流通に関わることとなるため、異なる事業者間の情報をいかに紐づけてトレースできるようにするのかが現在の課題の一つとなっています。最近ではITサプライヤと医薬品卸や3PL(Third Party Logistic)等が協業して、複数の事業者間で製品の情報を共有できるプラットフォームの構築に取り組み始めています。医薬品流通におけるプラットフォームの確立で日本は欧米等と比べ後れを取っているのが実情ではありますが、近い将来、日本でも本格的に運用されるようになるのではないかと思われます。
今回はGDPガイドラインの要件を満たすために活用されるであろうITシステムのうち、医薬品の管理に関わるシステムをご紹介いたしました。次回は品質マネジメントに関わるシステムをご紹介いたします。
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