DI:#1 データインテグリティとは

皆さん、こんにちは。パースペクティブの德原です。

本ブログで主に私は「データインテグリティ」をテーマに連載をしていく予定です。

データインテグリティという言葉をご存知になったばかりの方、体系的に整理したことのない方に向けて、役に立つコンテンツにできればと思っています。


1. データインテグリティとは

ここ数年、データインテグリティという言葉が製薬業界でよく使われるようになりました。

データインテグリティ(Data Integrity)はMHRA(Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency; イギリスの医薬品・医療製品規制庁)が2018年に発出したGxP Data Integrity Definitions and Guidance for Industry では以下のように定義されています。

データインテグリティとは、データが完全性、一貫性、正確性、信用性、確実性を有し、これらの特徴がデータライフサイクル全体を通じて維持されていることの度合い 
(Data integrity is the degree to which data are complete, consistent, accurate, trustworthy, reliable and that these characteristics of the data are maintained throughout the data life cycle.) 

私がデータインテグリティを一言で表現するとするなら、

医薬品に関係するデータが正確で信頼できること

とします。まずこのイメージを掴めていればOKだと思います。


2. データインテグリティの目的は?

なぜデータインテグリティを遵守しなければならないのでしょうか?

それは「患者の安全を確保する」ためです。

医薬品の試験方法にも関係しています。

例えば家電は工場から出荷される前に1台ずつ検査を行い、全数検査をすることが可能です。不適合になった製品は出荷されることはなく、適合品のみが消費者に届きます。

一方で医薬品の品質試験は、製造したものから一部をサンプリング(検体として採取)し、それらを使って試験することにより品質を確認します。その際、使用した検体は無くなってしまいます。すなわち医薬品は「その時に製造した製品全体(ロット全体)の代表」として「その時に製造した製品の一部」を使って試験し、品質を管理しています。そして出荷されるまでに行われた製造や試験等の種々の記録(データ)により、製造した製品全体(ロット全体)の品質を保証するのです。

患者が認知できる品質不良は外観、味、臭いなどに限られてしまいます。例えばその医薬品の有効成分が本来の半分の量しか含まれていなかったとしても気付くことは難しいでしょう。

そのため、
手順書に従って作業を行い、作業と同時に正確に記録(データ)を残す。
そして記録(データ)をもとに、行った作業の追跡が可能となっている。

この状態が確保されていれば、この記録(データ)が手順通りに作業を実施した唯一の証明となります。さらに市場へ送り出す製品の品質を保証することができ、患者や医療機関の方々の信頼に応えることができるのです。

しかしながら、過去にはデータインテグリティを遵守されていない事例がいくつも起きています。これはまた次回の連載にてお話ししようと思います。



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