GDP:#11 GDP領域におけるCSVの進め方③既存システムのバリデーション STEP2
こんにちは、田中です。
今回は、前回に引き続き既存システムに対するバリデーションの進め方をご紹介します。
前回は「STEP1:対象システムの洗い出し」についてご紹介しましたので、今回はシステムを洗い出してからの活動となります。
STEP2:リスク評価
ここでは、STEP1で洗い出したシステムに対してリスク評価を行い、優先順位付けを行います。
既存システムが数多くある場合、一斉にバリデーションを実施することは困難です。リスクの高いシステムから順次バリデーションをしていくために、各システムのリスクを評価し、優先順位付けを行います。
また、ここで得られた評価結果に応じて、システム毎にCSV活動の程度(厳密~簡易)が変わってくることとなります。
1.評価の観点
リスク評価の観点としては以下が挙げられます。
- 医薬品の完全性(*1)への影響
- 医薬品品質への影響
- 不正流通防止への影響
- カテゴリ分類(詳しくはこちら)
- システム及び供給者の品質
- システムの運用状況(障害の発生状況等)
- 供給者の作業品質(システム改修、運用サポート、文書作成等)
2.評価の手順
客観的な評価を行うためには、各評価結果を数値化して総合的に判定する方法が有用です。他にはマトリクスを用いてリスクを評価する方法もあり、こちらはGAMP 5(*2)にて紹介されています。
ここでは、積算法を用いた数値化による判定手順の一例をご紹介します。例示されている数値や算出式、判断基準はあくまでも参考となります。実際にリスク評価を行うにあたっては、適宜ご検討をお願いします。
手順① 各観点での評価結果を数値化する
(数値化の例)
- 医薬品完全性への影響:直接的に有り(5pt) / 間接的に有り(3pt) / なし(1pt)
- カテゴリ分類:カテゴリ 5 (3pt) / カテゴリ 4 (2pt) /カテゴリ 3 (1pt)
- システム及び供給者の品質:低 (3pt) /中 (2pt) /高 (1pt)
手順② あらかじめ定めた計算式にて総合判定値を算出する
(計算式の例)
[医薬品完全性への影響] × [カテゴリ分類] × [システム及び供給者の品質]
手順③ あらかじめ定めた判断基準に総合判定値をあてはめ、総合リスク(優先度)を判定する
(判定基準の例)
- 総合リスク高(優先度高):20pt以上
- 総合リスク中(優先度中):19pt~5pt
- 総合リスク低(優先度低):4pt以下
今回は、既存システムに対してリスク評価を行うにあたっての観点と手順の一例をご紹介しました。次回は今回の評価結果に応じて、どのようにバリデーション活動を進めていけばよいのかをご紹介する予定です。
*1:医薬品の完全性
GDPにおける医薬品の完全性とは「医薬品が製造販売承認に基づき製造され、出荷された状態を維持し、品質の劣化、改ざん、破壊されないこと」をいう
(出所:「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン対する質疑応答」 厚生労働行政推進調査事業 GDP研究班 GDP研究班成果報告会 2019年1月18日)
*2 :GAMP5
ISPE(国際製薬技術協会)から2008年に発行されたCSVのガイド「コンピュータ化システムのGxP適合へのリスクベースアプローチ(GAMP5)」
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