GDP:#14 GDP領域におけるCSVの進め方⑥既存システムのバリデーション STEP5&まとめ
こんにちは、田中です。
これまで4回にわたってご紹介してきました既存システムに対するバリデーションの進め方も、とうとう最終回となりました。
前回は「STEP4:マスター計画の策定」に関して考慮すべきポイントを中心にご紹介しました。今回は、各システムに対するバリデーションの進め方についてご紹介していきます。
STEP5:バリデーションの実施
各システムのバリデーションは、STEP2で判定したリスクに応じて、STEP3で定めた活動方針に基づき、STEP4で計画した時期に活動を実施していくこととなります。
既存システムに対する各種活動は、基本的には新規導入時のバリデーション活動と相違ないとご理解いただければ問題ありません。本ブログではCSVの各活動を解説した記事がすでに出されていますので、詳しくはリンク先の記事をご参照いただければと思います。
実施する活動
- ユーザー要求仕様書(URS)の作成(詳細はこちら)
- 機能仕様書(FS)の作成(詳細はこちら)
- 設計仕様書(DS)の作成(詳細はこちら)
- IQ実施(詳細はこちら)
- OQ実施(詳細はこちら)
- PQ実施(詳細はこちら)
以上で既存システムのバリデーションに関するご紹介は完結となります。連載が長くなってしまったので、ここでSTEP1からSTEP5までを簡単におさらいしてみたいと思います。
- STEP1:GDP業務で使用するシステムを洗い出して、システム台帳を作成します。
- STEP2:各システムについて医薬品完全性への影響度等を数値化し総合リスク(優先度)を判定します。
- STEP3:「ドキュメント整備」と「適格性評価」の活動方針を総合リスク毎に策定します。
- STEP4:総合リスク(優先度)やシステムの状況を考慮して、各システムのバリデーション実施時期を計画します。
- STEP5:リスクに応じた活動方針に基づき、計画に従って各システムのバリデーションを実施します。
最後に、既存システムに対するバリデーションに関しては、厚生労働省発出の「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」にも参考となる解説がありますのでご紹介します。
問2
「1.2 コンピュータ化システムの取り扱い」でこのガイドライン施行日以前に開発、運用が開始されているシステムであって「コンピュータ使用医薬品等製造所適正ガイドライン」に示された方法又はそれに代わる方法で開発、検証が行われていないシステムについては、当該システムの適格性を確認する必要があるとされているが、どのような方法で実施すべきか。
回答2
適格性を確認する方法として、当該システムの開発時の仕様書などの文書類や記録類に遡って、その適格性を検証する方法や、現在の使用目的に適合した要求仕様やそれに準じる文書との適格性を確認する方法等が考えられるが、適格性の確認にあたっては、現在の運用における記録類の照査や定期的レビューの結果を利用してもよい。
なお、使用目的に適合した要求仕様やそれに準じる文書とは、例えば、当該のコンピュータ化システムに関する「標準操作手順書」や、そのコンピュータ化システムが適用される製造プロセスに関する製造指図書等が考えられる。これらの文書に基づいて適格性を検証する場合は、この両文書を合わせて要件を確認するなど、検証項目に漏れのない様な配慮も必要である。
製造販売業者等は自社の品質保証に関するポリシーやリスク評価の結果等を考慮し、「コンピュータ化システム管理規定」等にその対象や実施方法、検証項目等に関する基本的な考え方を定め、それに基づき実施すること。
このような考え方を参考に、バリデーション品質を確保しながらも文書作成や検証を過剰に実施することなく、リスクに応じた効率的な活動方針を確立していただければと思います。
次回からは、新規導入システムのバリデーションについてご紹介していく予定です。
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